1.6Tb/sによる次世代ネットワークの実現を可能にした技術革新、その結果としてのネットワーキングの変化、そして業界にとっての意味について、CienaのHelen Xenos(ヘレン・ゼノス)が解説します。

CienaのWaveLogic 6 Extreme(WL6e)により、1.6Tb/sコヒーレント技術が実用化されました。2024年10月以降に商業利用が可能になったWaveLogic 6 Extremeは、現在、光伝送システムに搭載されて出荷され、ネットワークに導入されつつあります。AIによって大容量接続の需要が増加したこのタイミングで出荷が始まったことは、Cienaだけでなく、お客様や業界にも重要なマイルストーンとなりました。

では、1.6Tb/sネットワークの実用化は、なぜ大きな出来事なのでしょうか。ネットワークと業界の両方の観点から、この意味について考えてみましょう。

技術革新

まず、理解しなければならない大切な点は、このマイルストーンはいくつかの重要な技術革新によって達成できたということです。

  • 3nm CMOSをネットワークに初めて採用したことにより、ソリューションの設置スペースと消費電力を最小化しながらも、コヒーレントDSPが200GBaudで動作するために必要なあらゆる処理ができるようになりました。3nmは、現在実用化されているシリコン・テクノロジーノードの中で最も先進的な技術であり、代替設計で使用されている5nm CMOSと比較した場合、ロジック密度が1.6倍向上し、同等の速度で電力消費が30~35%低減します。
  • 100GHzの電気ベースバンドを搭載する初の超広帯域トランスミッターとレシーバーにより、帯域幅が65~75GHzに制限されている市販のコンポーネント(ドライバー、変調器、トランス・インピーダンス・アンプ)では不可能な200GBaud設計が実現されました。
  • 業界初となる3nm統合の超広帯域アナログ・デジタル・コンバーターとデジタル・アナログ・コンバーターを100GHz帯域と共に使用すると、200GBaud設計をサポートする場合に最大225Gサンプル/秒で動作できます。  代替としてのDAC/ADC設計は、最大でも140GBdに制限されています。
  • *カスタム設計のRFフレックス・ケーブルを使用するなど、革新的なパッケージングとアセンブリー設計により、超広帯域信号の忠実度を確保できます。

CienaのWaveLogic 6 Extremeモデム

CienaのWaveLogic 6 Extremeモデム

WL6eモデムは、コヒーレントDSP、RF設計、高速コンバーター、光デバイス技術、光伝播に関する様々な専門家との共同開発によって設計されました。その結果、シングルキャリア波長あたり13,500kmの1Tb/s伝送という、以前には想像もできなかった驚異的な性能を備えた「すぐに使用できる」製品が完成しました。また、大量生産を可能にする高度な技術を確保するには、Cienaチームの数十年に及ぶ経験と他に類を見ないインサイトが重要でした。大量生産を実現する技術は、WL6eの高パフォーマンス設計と同様に重要な要素です。

WaveLogic 6e Team after First Optical Continuity

写真:WL6eの実用化をサポートしたチームメンバー。1.6Tへの道のりの写真は、下にスクロールするとさらにご覧いただけます。

WaveLogic 6 Extremeの1.6 Tb/sがネットワークに与えた影響

WL6eの設計で実現した新しい革新技術が光伝送にもたらす変化はどのようなものでしょうか。

  • コスト削減:波長あたりの伝送容量は、95GBaudソリューションで導入されているトランシーバーのどのペアと比べても2倍となり、140GBaudソリューションと比較した場合は1.5倍になります。導入するトランシーバーの台数が減ると、CAPEXも削減されます。
  • *高速接続: 最長リンクで400Gと800Gのクライアント・トラフィックを効率的に組み合わせるなど、最速の接続を提供して、卓越したエクスペリエンスをネットワークのエンドユーザーに提供できるようになりました。ユビキタスな800G接続を実現するには、200GBaud設計の使用が不可欠です。

Full fill system network modeling with WL6e results demonstrate 800 Gb_s across the longest linksWL6eの200GBaud設計で800Gグローバル接続を実現。フル実装システムのネットワーク・モデリングにより、最長リンク全体で800Gb/sを実証。

  • 運用の簡素化: 200GHz間隔を使用しているWL6eごとに、24チャネルのみでCバンドをフル搭載できるようになりました。導入と管理の対象となる波長が少なくなることに加え、WSSモジュールに直接接続できるトランシーバーを搭載したシンプルな光通信システムを使用できるようにもなりました。これにより、端末が設置されているすべての場所でアド・ドロップのフル・アクセスを維持しながら、設置スペースと消費電力を最小化できます。  また、新しい統合C&LバンドWSSモジュールを使用することにより、CバンドとLバンドの両方(全体で9600GHzスペクトル)をラック1台のわずか3分の1のみを使用して、フル搭載できるようになりました。
  • サステナビリティーのメリット: 最先端技術の利用によって得られる重要なメリットは、ビットあたりの消費電力を大幅に削減できることです。WL6eの200GBaud設計は、前世代の60~95GBaud技術と同様の設置スペースと電力枠において伝送容量を2倍以上に拡大し、ビットあたりの設置スペースと消費電力を50%削減できる唯一のソリューションとなっています。これにより、ネットワーク・プロバイダーは、温室効果ガスの排出削減目標を容易に達成できます。最新技術による消費電力の削減に加え、製品のGb/sあたりの重量およびサイズの縮小によって、輸送料、設置スペースや冷却設備の削減が可能になり、結果として温室効果ガス排出量が大幅に削減されます。

WL6eによる設置スペースと消費電力の大幅な削減を示す例WL6eによる設置スペースと消費電力の大幅な削減を示す例

  • ネットワークの状態に関する詳細なデータ:最長の距離で大容量を確実に伝送する主要な機能のサポートに加え、WaveLogicの科学者とエンジニアは、3nmコヒーレントASICに新しいモニタリング機能も実装しました。毎秒1,600テラ演算を処理するWL6e DSPは、稼動中のストリーミング・テレメトリーにおいて1usの高速サンプリング・レートをサポートできるため、どんなに小さい外部イベントでもネットワーク全体でリアルタイムに可視化できます。外部イベントの例としては、雷、地震、悪意のある攻撃者による侵入の試みなどがあります。

WL6eから得られる新たなネットワーキング機会に目を向けることは重要ですが、以前から変わっていないメリットもいくつかあります。例えば、Waveserverと6500の既存シャーシに導入できること、前世代のコヒーレント波長と共に6500、RLSに加え、オープンなすべての通信システムに導入可能であること、カスタム・ソフトウェアを使用してオープンAPIまたはNavigator Network Control Suite経由で管理可能であること、Planner Plus設計ソフトウェアを使用して容量計画を実行できることなどです。これが意味することは何でしょうか。

それは、現行の運用方法を維持しながら、認定テストを迅速化し、導入済みの既存シャーシの空きスロットに設置することで最新技術をネットワークに導入してそのメリットを迅速に得られるということです。

業界にとっての意味

完成したWL6e製品は、導入が容易で、ネットワーキングの重要なメリットを提供しますが、このような「すぐに使用できる」200GBaudソリューションは実現が極めて難しい技術です。様々な新しい技術ベンチマークの達成の経験に基づいて、Cienaは現在、OIF 236GBaud 1600ZR、OIF 252GBaud 1600ZR+、および300GBaudを達成する高速ボーレート・ソリューションなど、業界が必要とする次世代ソリューションの提供において最適なポジションを確保しているだけでなく、関連する標準化団体とフォーラムにおいて仕様および実装合意へのCienaが果たした貢献により、最適なガイダンスを提供できます。  WaveLogic 6 Extremeに関与した科学者とエンジニアの多くは、これらの組織に参画している主要なコントリビューターでもあります。

毎回のことながら、さらなる業界初と世界初の達成を主導したことは、胸が躍る経験でした。  詳細については、  下の写真アルバムをご覧ください。1.6Tへの道のりにおけるマイルストーンのいくつかを皆様に共有できることを誇りに思います。 you.

1.6Tへの道のりの写真アルバム

  • 100GHz electro-optics

    業界初の100GHz光伝送デバイス技術の実現

  • Picture showing Ciena's wafer of 3nm

    最初の3nmウェハーチップ

  • 1st chip in integration

    最初の集積チップ

  • WaveLogic 6 Exteme Modem with Optics

    光デバイスを搭載した最初のWaveLogic 6 Extremeモデム

  • Distributing WL6e modems for integration testing

    待ち望まれていたWL6eモデムを統合テスト用にさまざまなチームに配布

  • WaveLogic 6 team members

    エンドツーエンドの光回線導通を初めて達成した後のチームメンバー

  • Optical propagation testing

    初の500kmに及ぶ1.6T光伝播

  • Waveserver with WaveLogic 6 Extreme

    WL6e Waveserverの統合、光伝播テストの実施

  • Ciena engineers with WaveLogic 6

    エンジニアがテストを終了し、実環境試験のサポート準備が完了

  • Ciena and Arelion teams

    ArelionとCienaがWL6eを使用して470kmの距離で世界初となる1.6Tb/s伝送試験を完了

  • Telstra, Ericsson and Ciena teams after trial

    Telstra、Ciena、Ericssonのチームが736kmの距離でシングルキャリアでの1.6Tb/s伝送を容易に達成

  • Southen Cross and Ciena teams after trial

    Southern Crossが太平洋横断の13,500kmの距離で世界初の1Tb/s伝送を達成した後のチームメンバー