あらゆる人がAIに関心を持っています。ネットワーク業界も例外ではありません。Cienaの革新的なAIOpsユースケースのいくつかと、機械学習(ML)や生成AI(GenAI)などの人工知能(AI)がお客様のネットワークとサービスの運用をどれほど効果的に強化するかについて、ティム・ピアソン(Tim Pearson)とケイレム・アンダーソン(Kailem Anderson)が議論しました。

この2、3年で人工知能(AI)への関心は急速に高まっており、検索や情報伝達の方法はすでに刷新されています。AIを適用してネットワークとサービスの運用を強化、自動化する手法は、現在、一般にAIOpsと呼ばれています。Cienaは、Navigator Network Control Suite(Navigator NCS)および Blue Planet Intelligent Automationソフトウェア・ポートフォリオに高性能な分析と高度なアルゴリズムを統合し、長年にわたってAIOpsイノベーションの最前線に位置してきました。下図に示すように、Blue PlanetとNavigator NCSは相互に補完的ですが、これらは独立したソフトウェア・ポートフォリオであり、連携して機能することでお客様のAIOps戦略を実現します。

Cienas complementary software offerings enabling AIOps

図1:Cienaの相互補完的なソフトウェアがAIOpsを実現

先日、CienaのNavigator NCSの製品ライン管理担当副社長であるティム・ピアソン(Tim Pearson)Cienaの一部門であるBlue Planetのポートフォリオ&エンジニアリング担当副社長のケイレム・アンダーソン(Kailem Anderson)を交えて、Cienaが現在サポートしている革新的なAIOpsアプリケーションおよびAIの最新の開発によって創出される新しい機会について議論しました。

AIによってライフサイクル運用が大幅に改善する可能性があるとサービス・プロバイダーは確信

Q: 世界各地のIT部門および通信部門の担当者を対象に実施した最新の調査では、ほぼ60%の回答者が、AI活用がネットワーク運用を40%以上効率化すると思うと答えました。意外な結果だったでしょうか。

Ciena AI Survey Chart 図2:回答者の多くがAIはネットワーク運用を40%以上効率化すると思うと回答

ティム:まったく意外ではありません。AIの適用領域は日々拡大しており、ネットワーク業界も例外ではありません。最適化、トラブルシューティング、モニタリングの自動化などのさまざまなユースケースにAIを適用することで、ネットワーク運用が大きく改善します。

ケイレム:私もこの結果に驚きはありませんでした。この2~3年、当社の顧客基盤全体で、分析、AI、機械学習(ML)の導入が急速に進んでいます。特に、保証と問題原因分析の効率性が向上します。当社もこの分野で、導入後すぐに利用できる事前構築済みのユースケースをいくつかサポートしています。

AIOpsの価値を最大化する主要なユースケースとテクノロジーの選択

Q:真のビジネス価値を実現するAIOpsのテクノロジーとユースケースを上位からいくつか挙げてください。

ティム: MLは、サービス保証に確実に役立ちます。特に、マルチレイヤー・ネットワークでは顕著です。事業者は、サービス・レベル・アグリーメント(SLA)を遵守するために、装置から収集した過去とリアルタイムのネットワーク・テレメトリーを活用して、すでに経路、チャネル、帯域、スペクトルを最適化しています。そして、今では高度なAI手法により、さらに正確で実施可能なインサイトを取得できるので、最適化の意思決定をインテリジェントに行えます。

一例を挙げると、CienaのFiber Health Assuranceアプリケーションは、MLを活用してファイバー測定値が逸脱する潜在的な原因を特定するので、事業者は問題を予防的に修正できます。たとえば、光パスをチューニングすると、オーバーレイIPリンクが頻繁に経路変更されるのを防止できる可能性があります。または、信号雑音比(SNR)測定値が高い場合には、光パラメーターを調整することで、IPリンク容量を拡大できるかもしれません。これにより、プロバイダーはネットワーク資産からより多くの容量を抽出し、CAPEXを削減できます。

Ciena Fiber Health Assurance in action Figure 3: Fiber Health Assurance in action

ケイレム:MLは、障害を予防的に検出して軽減するのにも役立ちます。Blue PlanetのSilent Fault Detection(SFD)は、事業者がパッシブ光ネットワーク(PON)のような環境で「運用の盲点」となるサービス問題を特定する一助となります。このような環境では、機器がアラームを生成することはありませんが、パフォーマンス低下は通常、コネクターが緩んでいたり、光パッチコードが曲がったりしていることが原因で起こります。

SFDは、良好または不良状態のサービスパスの中断を分析し、CienaのMLアルゴリズムを使用して、最も可能性が高い障害の問題原因を判別します。また、問題の兆候を示す複数のイベントを関連付けまたは抑制し、事業者が複雑なマルチドメイン/マルチベンダー・ネットワークでより迅速に問題を局所化できるように、これらのイベントを実施可能なひとつの「スマートアラーム」にまとめます。当社は、お客様と共に試験を実施し、それに基づいてサービスに影響を与えるネットワーク問題を定量的に減らし、非常に良好な結果を出しています。

Ciena Silent Fault Detection helps detect failures in PON environments 図4:Silent Fault DetectionがPON環境の障害検出を促進

Q:あらゆる人が生成AI(GenAI)の時流に乗っているように見えます。ネットワークとサービスの運用で、生成AIは役立つでしょうか。

ケイレム:はい。事業者は、生成AI(GenAI)と大規模言語モデル(LLM)に強い関心を持ち、運用を最適化して、カスタマー・エクスペリエンスを改善するために活用しようとしています。現在、多くの事業者が特定のハイパースケーラーのLLMを利用するオプションに加え、通信事業者固有のLLMの構築を目指すGlobal Telecom AI Alliance(GTAA)のようなイニシアティブを調査しています。

これらの意思決定を容易にするために、Blue Planetは先ごろ、事業者が「Bring Your Own」AIモデルを構築し、自社の運用とOSSを柔軟に最適化できるオープン・フレームワークを導入しました。AI Studioでは、事業者が制約のない方法でAIモデルを統合するのに役立つ、ホスティング・実行環境を提供します。事業者はこの環境で、特定のLLMに縛られることなく、Blue Planetが提供するSFD(上記を参照)のようなAIユースケースや、自社のデータサイエンス・チームやサードパーティーが開発したAIモデルを管理できます。このように各種のAIモデルを管理できるので、AI活用の運用に迅速に移行したり、新しいモデルを開発する際に将来に備えて対応したりできます。

ティム:新技術から最大のメリットを得て、組織にとって最高の成果を達成できる、主要なユースケースを賢く選択することは、各サービス・プロバイダーとクラウド・プロバイダーにとって重要です。お客様との会話から、生成AIを適用し、主に運用スタッフが最終決定を行うプロセス(ヒューマン・イン・ザ・ループ自動化)により、運用ワークフローの加速および自動化を促進することに強い関心を持っていることが分かります。これを実現するには、生成AI(GenAI)と自然言語処理(NLP)を使用し、特定のワークフローの一部として、コンテキストに応じてドメイン固有のデータを統合し、正確な応答を提供する必要があります。

それらの上に生成AIエンジンを構築すれば、APIコールを介してネットワークを直接操作できます。これは、従来のDevOps手法を超える、まったく新しい運用の自動化方法です。当社は現在、自動化アプリケーションの作成を大幅に促進する生成AI活用ツールに取り組んでいます。

興味深いことですが、自動化が進むほど、ユーザー・インターフェイスの可視性を高める必要性が高まります。運用チームが、複数ステップの自動化フローの進捗状況を追跡し、ビジネス目標を確実に達成できるようにするためです。

Q:生成AIのユースケースの主要なメリットは何ですか。

ティム:主に、OPEXの削減です。生成AIツールを使用して、トラブルシューティング、ワークフローのプロビジョニングとプランニングを加速することで、運用担当者はより短時間で作業を完了できます。その結果、ビジネス全体のアジリティーが高まります。お客様は、その利点を高く評価します。

それに加えて、時間がかかる反復的なタスクを実行する負担が軽減され、チームはその時間と労力を顧客基盤向けの新サービスの作成および市場投入に振り向けることができます。お客様は、この利点も評価します。

How GenAI is leveraged for conversational help in network operations 図5:生成AIを活用してネットワーク運用の会話型サポートを実現する方法

Q:サービス・プロバイダーとクラウド・プロバイダーがAIOps戦略を展開するときには、何から始めればよいでしょうか。

ケイレム:運用のユースケースを特定し、適切なAIテクノロジーを活用して期待どおりのビジネス成果を促進することが基本的な開始点となります。生成AIは、近ごろ最も高いマインドシェアを獲得していますが、必ずしも特定したユースケースに最適なソリューションを提供できるとは限りません。幸い、AIOpsは既に、Blue Planetの自動化ポートフォリオ全体に対して数年にわたる実績を積み重ねており、現在利用可能な事前構築済みの複数のユースケースに対応しています。つまり、プロバイダーはそれらのソリューションを利用し、そこからさらに拡張できるということです。

ティム:マルチレイヤー/マルチベンダーのユースケースでは、AIを活用して大量のネットワーク・データを関連付けて分析することにより、予防的な障害検出、サービス保証、パフォーマンス最適化を実現し、大きなメリットを得られると聞いています。現在、レイヤー全体にわたってそのような分析を行うには、時間と手間がかかる作業が必要です。しかし、AIモデルのトレーニングと検証が完了していれば、AIは最適なソリューションを非常に迅速に推論できます。全体として、これが意味することは、サービス・プロバイダーとクラウド・プロバイダーは、より短時間により適切なインサイトを取得し、ネットワークを変革して急速に変化する市場の需要に対応できるようになるということです。

Q:ネットワークとサービスの運用にAI技術を取り入れるときの市場の方向性について、お二人から貴重な意見をいただきました。ありがとうございました。本当に楽しい時間でした。