今日の国境を超えた企業活動は、「グローバル・コネクティビティ(世界的な接続性)」という言葉なしでは語ることができません。この接続性を実現する上で、大陸間の通信インフラである海底ケーブルネットワークは重要な役割を果たしています。

本ブログでは、グローバル・コネクティビティを推進する上で海底ケーブルが果たす極めて重要な役割と、Cienaが提供するGeoMesh Extremeが海底ネットワークにどのように貢献しているかを事例と共に考察していきます。

グローバル・コネクティビティにおける海底ケーブルの重要性

海底ケーブルとは、海の底に敷設される通信ケーブルを指し、総延長はおよそ140万kmにおよびます。

かつては、無線通信である衛星通信をメインに海外との情報のやり取りを行っていましたが、天候による影響や利用できる電波周波数の限界など、遅延や通信容量に課題が存在しました。その点海底ケーブルは、通信速度、信頼性と通信容量の面で衛星通信を凌駕しており、現在では国際通信の99%を担うなど、通信インフラの根幹として扱われています。また、海底ケーブルは1980年代に同軸ケーブルから光ケーブルに移行し、その後もデジタルコヒーレント技術の革新により、海底ケーブルシステムのさらなる大容量化を実現しています。

世界の通信帯域幅の消費量は今後も増加し続けると予測されており、海底ケーブルにおける更なる技術革新は、世界の国々を結ぶネットワークの発展に欠かせないものと言えるでしょう。

海底ネットワークが直面する課題を解決に導くCienaの「GeoMesh Extreme」

海底ネットワークを活用したテクノロジーは発達を続けていますが、以下3点の課題があります。

  • 増加し続ける帯域幅需要への対応
  • 避けられない障害からのデータ保護
  • ネットワーク所有コストの削減

これらの課題に対応するために、Cienaはハードウェア・ソフトウェア・サービスを組み合わせて「GeoMesh Extreme」と呼ばれる新たなネットワークアーキテクチャを構築しました。このソリューションの先駆けとなった「GeoMesh」は、砂浜から砂浜ではなく、PoP(Point of Presence)からPoPの通信を実現し、陸地と海底のネットワークを分断せず統合的に扱えるようにしたネットワークアーキテクチャです。ケーブル陸揚げステーションにあった海底と地上のネットワーク境界点を消去することで、アクセス拠点から海底ネットワークの接続点までではなく、エンドツーエンドで大陸間ネットワークを設計できるようになりました。この革新的なGeoMeshアーキテクチャを極限まで機能強化したGeoMesh Extremeは、これまでにない革新的な機能を提供します。

SDN機能

SDN(Software Defined Networking)機能とは、ソフトウェアによってネットワークを統合し、一元管理する機能です。SDN機能を活用することで、分析や機械学習などの機能と連携し、機器の障害が発生する前にプロアクティブに対処できます。

また自動的な経路変更、パフォーマンスデータのリアルタイム収集など運用作業の効率化、通信状況に応じた帯域幅の自動調整などの機能も活用できるようになります。

ネットワークを新規導入する場合でも、設定時のルールを定めておけばスムーズに導入可能です。

SLAポータル

SLA(Service Level Agreement:サービス品質保証)ポータルとは、サービスの品質保証に関するデータを集めて可視化する仕組みです。各種データを分析して障害を未然に防止する可能性を高め、帯域幅不足などのトラブルも事前に予測できるようになります。

また顧客自身で、ネットワークサービスの健全性を自己診断し、SLAパフォーマンスを検証することも可能です。

PinPoint C-OTDR(光パルス試験器)

PinPoint C-OTDRは、光通信ネットワークの複数セグメントおよびシステムのパフォーマンスを可視化し、光ファイバーの損失状況を明確にできます。

データセンターから各サイトのC-OTDRへアクセスすることにより、効率的なネットワークの運用管理ができ、ネットワークの安定性を大幅に高められます。

Network Health Predictor

Network Health Predictorは、ビッグデータ分析を利用してネットワークの問題発生を予測します。機械学習によってネットワーク運用メンバーによる分析を効率化し、効率的な運用管理に寄与します。

その他にも、ネットワーク接続を可視化し帯域を有効活用できるトポロジ検出、イベントをグループ化して関連するアラームを識別し、トラブルシューティングに費やす時間を短縮できるアラーム相関などの機能があります。

GeoMesh Extremeを導入することで、際限なく増大するグローバル帯域への対応や、起こりうるケーブル障害の回避が可能になるのと同時に、コスト削減による利益確保の実現が可能となるでしょう。

Cienaの海底ネットワーク分野における貢献

CienaのGeoMesh Extremeを始めとしたソリューションを活用した海底ケーブルの事例を3つご紹介します。

世界最長のシングル・スパンによる400GbE海底ケーブル伝送達成に貢献

オーストラリアの国際通信事業者Southern Cross Cables Limitedは、2023年1月15日に同社のSouthern Cross NEXT(「NEXT」)ケーブルを使用して、オーストラリア、ニュージーランド、米国間で400GbEの法人サービスの提供を開始することを発表しました。世界最長のシングル・スパンの海底ケーブル・ネットワーク上に400GbEサービスの伝送を実現するのは世界初であり、大きな変革をもたらしました。このNEXTケーブルにはGeoMesh Extremeを始めとしたCienaのネットワーク基盤が多数活用されており、同社の海底技術の限界への挑戦を支援しています。

大陸間の高速接続実現を支援

2024年1月10日、BW Digitalは同社が所有するHawaiki Transpacific Cableにおいて400Gbps商用サービスの提供を開始しました。13,540kmのHawaikiケーブルは、CienaのGeoMesh Extremeを使用してオーストラリア、ニュージーランド、米サモア、ハワイ、米国西海岸を接続しています。また、Waveserver 5などの様々なCienaソリューションのサポートによって、プログラム可能なネットワークを提供し、Hawaikiケーブルを容易に拡張できるようになりました。

このことにより、クラウドやデータ・サービスの容量ニーズへの対応、信頼性と可用性の向上、オレゴンとハワイ間の接続レイテンシーの短縮などが実現しています。

日米間をつなぐ海底ケーブル「JUNO」の大容量化をサポート

2024年6月、海底ケーブル・システム「JUNO(ジュノ)」を運営する、セレンジュノネットワーク株式会社およびSeren Juno Network America Incは、ネットワーク容量拡大のためにCienaのGeoMesh Extremeを展開する予定であると発表しました。日米間を結ぶ総距離1万kmのJUNOケーブルは2024年末に運用開始予定で、アジア太平洋地域における大容量サービス提供のサポートが期待されています。

既存日米間ケーブルはAIやクラウドサービス、動画ストリーミングなどの成長によって容量上限に達しつつあり、今後もこれらのサービスの急成長を支えていくためには、容量とネットワーク性能が重要な鍵となります。最大規模の太平洋横断海底ケーブル・システムであるJUNOケーブルは、Cienaのソリューションを活用することで、大容量化、ケーブルの運用効率向上、ワークフローの簡素化や高速化などの様々なメリットを得ることができるようになるでしょう。

Cienaはグローバル・コネクティビティの発展に貢献し続ける

海底ケーブルは、今日の国際間通信システムを支えるネットワークインフラとして欠かせません。海底ネットワーク事業者は、GeoMesh Extremeを始めとしたCienaのソリューションの活用で、海底ネットワーク資産管理が抱える課題を柔軟に解決することができます。これまで30年以上にわたり常にイノベーションを追求してきたCienaは、今後も更なる技術開発を進め、世界中の国々を結ぶネットワークの発展に貢献していきます。