IP/オプティカル統合については木を見るために森を見る
私は仕事の関係で、世界各地のさまざまなサービス・プロバイダーのお客様とよくお話をします。最近、お客様との会話で分かったことがあります。それは、次世代のメトロおよびエッジ・ネットワークに関する議論が実際に始まっているということです。急速に変化する市場において競争力を維持するために、サービス・プロバイダーは、ネットワーク・エッジにおける利用拡大に合わせてネットワーク戦略を迅速に進化させています。
この議論の中心テーマは、IP/オプティカル統合に移ってきています。サービス・プロバイダーはネットワークを単純化することにより、現在の市場における不可欠な競争優位性である俊敏性と効率性を高めようとしています。残念ながら、IP/オプティカル統合については多様な意見があり、多くの風評が市場で生まれ、混乱が生じています。 IP/オプティカル統合とは、コヒーレント・プラガブル・モジュールのことであると確信している人たちもいます。しかし、それは物事の一端を捉えた考えに過ぎず、このブログでその点について解説しようと思います。 これを理解するためには、一歩引いて考える必要があります。
実際のところ、IP/オプティカル統合は、より大規模なメトロおよびエッジ・ネットワークの最新化という文脈で捉える必要があります。ネットワーク・レイヤーの統合を目指した特定の技術を検討する作業から開始するべきではありません。
大局を捉えることが重要であり、「木を見て森を見ず」ではなく、木を見るために森を見る必要があります。
最初に、サービス・プロバイダーが次世代のメトロおよびエッジ・ネットワークを活用して対応しようとしている課題とチャンスを見ていきましょう。これらの課題とチャンスが、アーキテクチャーの進化をより重要な要件へと押し上げています。
まず第一に、ネットワークでは現在、アプリケーションの分散化と仮想化が進んでいます。低遅延を実現してエンドユーザーが求める質の高いエクスペリエンスを提供するために、アプリケーションとコンピューティングは、ネットワーク・エッジ付近にますます近づいています。 それと同時に、住居向けサービスは、新たに出現している「ホームオフィス」に対応しなければなりません。企業はますます多くのワークロードをクラウドに移行しているため、柔軟なマルチクラウド接続を必要としています。また、4G/5Gにより、普及度が高いインテリジェント・デバイスとそれらのデバイスに関連付けられた大量のデータを利用するアプリケーションが登場しています。ネットワーク最新化の見地から見て、これらの現象はどのような意味を持つでしょうか。
市場で起きている主要アプリケーションの登場と消費者トレンド
当社のお客様にとって、メトロおよびエッジ・ネットワークの最新化は3つの要素にまとめることができます。そして、そのすべての要素にIP/オプティカル統合が必要です。
1) アクセスでIPサービス・エンドポイントが急増し、これらのすべてを効率的に処理および管理することが必要になっています。その結果、ネットワーク深部にまでレイヤー3コントロールプレーンが導入され、L2/L3運用を単純化する必要があります。 セグメント・ルーティングとEVPNによってトランスポート・プロトコルとサービス・プロトコルを一般的なものに統合するアプローチは運用を効率化するために最適な方法であり、集中型の経路計算エンジンを使用することで、自動化エコシステムとより密接に結び付くことができます。 その一方で、サービス・プロバイダーはまだ始動しておらず、白紙の状態です。 サービス・プロバイダーが保有する既存のネットワークの現状とそれぞれの開始点に基づいて、セグメント・ルーティングとEVPNの最適な導入方法を決定するには、直接対話によるコンサルティングが不可欠です。
2) 住宅用/企業/モバイル・ネットワークの要件の線引きが、あいまいになり始めています。これにより、アクセス・ネットワークを進化させることが必要になります。個別のネットワークを一般的で汎用的な単一のアグリゲーション・ネットワークへ変革する必要があり、それにはスケールアップ・ダウンを大幅に向上させる必要があります。ここで必須となるのが、TDM、PON、イーサネットなどの広範なプラガブル・モジュールをサポートするマルチサービス・ルーターです。容量の拡大に伴い、この部分のネットワークに必要な容量、柔軟性、費用対効果を実現するために、回線側の統合されたコヒーレント・プラガブル・インターフェイスと、アクセスに最適化された導入しやすいフォトニック・システムが必要になっています。
3) この新しい世界においては、ネットワークがかつてないほど高度なプログラマビリティーと自動化を発揮し、メトロの新しいサービス/クラウド・オンランプや新しい移行先であるエッジなど、すべての場所に接続を動的に提供しなければなりません。 鍵となるのは、単純化です。しかし、ここで重要なことは、1つのサイズですべてに対応することはできないということです。 たとえば、最新のIPプロトコルと統合型のコヒーレント光装置をサポートするルーターを使用すると、設置面積と消費電力を最大限に効率化できます。しかし、コストを抑制してネットワーク上の再生中継、遅延、タッチポイントを削減するには、ネットワークの特定のニーズを満たすパフォーマンスを提供できる光装置の導入も極めて重要です。広帯域データセンター接続を実現するには、すべてのL3トポロジーを迂回するネイティブ波長伝送が最も効率的でしょう。アーキテクチャー・コストを最小限に抑えるには、導入済みの資産を活用できるかどうかも鍵を握るはずです。
将来の運用モード – 理想とする最終形態
IP/オプティカル統合を成功に導く「秘密の要素」とは?
ここまで、IP/オプティカル統合の技術およびアーキテクチャーのさまざまな考慮点について説明してきました。 しかし、IP/オプティカル統合を成功に導く「秘密の要素」とは、実は自動化です。これについては、お客様と何度も話し合ってきました。その理由がお分かりですか。
すべてのエレメントを統合するには、マルチレイヤーのインテリジェントなネットワーク制御が必要です。これにより、集中型のPCE機能が実現されます。その範囲はネットワーク全体に及び、アクセスにおけるさまざまなサービス・エンドポイント間に最適化されたルーティングを提供します。この機能は、IPレイヤーの情報だけでなく、光レイヤーの情報も抽象化する必要があります。それにより、エンドツーエンドの可視化、クロスレイヤー制約に基づくルーティング、マルチレイヤー相関、リソース最適化を実現します。
最新化されたネットワークは運用の効率化と自動化のために、切り離されたソフトウェア・アプリケーションではなく、統合されたオープン・インターフェイスによってこれらのすべての機能をサポートできなければなりません。 技術の統合が可能であっても、自動化がなければ、効果的なネットワーク変革の達成は道半ばで終わります。
技術の統合が可能であっても、自動化がなければ、効果的なネットワーク変革の達成は道半ばで終わります。
では、ホップバイホップはどこに適用すべきか?
これまでのすべての説明に納得していただけたと思いますが、IP/オプティカル統合戦略としてのホップバイホップはどうなったのだろうとお考えかもしれません。 業界では、ホップバイホップとROADMのメリットについてさまざまに議論されてきましたが、この分野でROADMに軍配があがることは多くの人が認識しています。ROADMは、トータルコストを最小限に抑え、ネットワーク変革を容易にし、エンドユーザー・エクスペリエンスの質を高めます。
ROADMによる柔軟でインテリジェントな光レイヤーは、ネットワークの単純化、ルーターの迂回によるコスト削減、光レストレーションによる耐障害性の向上を可能にします。 それと同様に重要なことは、ROADMの再構成可能な特性により、サービス・プロバイダーが現在と将来の両方にわたって予測不可能なトラフィック需要に対応できるということです。プログラマブルなオプティカル基盤により、ネットワークを新しい場所に簡単に拡張し、将来は新しいコヒーレント技術を受け入れることができます。新しい光ファイバーを導入することなく、これらのすべてを実現することができます。
ホップバイホップでは、ネットワークを新しいサイトや新しい技術にアップグレードする度に、新しい光ファイバーとそれに関連するフォトニック装置が必要になります。 そのため、当社のお客様であるサービス・プロバイダーの多くがホップバイホップ・アプローチの制約を理解し、IP/オプティカル統合戦略の一環として、適切な光レイヤーの選択により大きな比重を置いています。
IP/オプティカル統合に対するCienaのアプローチは?
IP/オプティカル統合に対するCienaのアプローチは、Adaptive Network™ビジョンに基づきます。 お客様のニーズに最適なネットワーク変革の方法に対応するために、CienaはIP/オプティカル統合に対して包括的なアプローチを採用しています。Cienaは、IP/オプティカル統合の実現に必要な全分野(IP、光、ソフトウェア)で、次のような最先端イノベーションに多大な投資を行っています。
- Adaptive IP™に基づいて、差別化された方法で設計されたIP。具体的には、目的に応じたハードウェア、将来を見据えて設計された次世代IPネットワーキングOS、過去に使用されていたレガシー・プロトコルの一掃などです。
- インテリジェントなネットワーク制御を提供する MCPアプリケーション。これらのアプリケーションは、ネットワーク・ライフサイクルを通じて、マルチレイヤー/マルチベンダー・インフラ全体にわたって運用タスクの自動化を実現します。対象は大半ではなく、全機能です。プランニング、マルチレイヤー・プロビジョニング、最適化、さらにはマルチベンダーIP/MPLSパスやサービス・アウェア・パフォーマンス分析までのすべての機能が、統合されたオープン・インターフェイスを介して一元的に提供されます。
- 当社は、最も費用対効果の高い方法でネットワーク・アプリケーションをサポートするオプションをお客様に提供するために、市場をリードする全種類のWaveLogic™コヒーレント光技術および完全に機能化された光通信システムへの投資を続けています。
- カスタマー・エンゲージメントについては、Cienaサービスチームが最初から最後まで継続的に対応いたします。お客様とともにビジネス目標を精査し、策定されたビジネス目標の達成に向けて、適切なネットワーク戦略を立案して導入を行います。
CienaはIP/オプティカル統合について、お客様は「木を見て森を見ず」ではなく、木を見るために森を見る必要があると考えています。 まず、次世代のメトロおよびエッジ・アーキテクチャーに関するより大局に立ったビジョンから始めて、その後でネットワークの現状とビジネス・ニーズを踏まえた最適なIP/オプティカル統合の方針を決定してください。