Ciena WaveRouter product image既にご存知かもしれませんが、Cienaは最近WaveRouterTMを発表しました。これは、統合メトロ向けに再構築されたルーティング・プラットフォーム・アーキテクチャーであり、レガシー・ルーティング・アーキテクチャーからの飛躍的な進化を遂げました。WaveRouterは、マルチレイヤー間で調整される高度な制御を備えたIPと光の最新技術を提供し、二酸化炭素排出量だけでなくネットワーク・コストも大幅に削減します。

メトロ・ネットワークの需要が増大するにつれて、ネットワークの柔軟性を高めるために拡張性の高いソリューションが必要になりますが、そのソリューションは自社の運用施設環境内で制御しながら使用しなければならないという制約にも対応する必要があります。一方で、垂直型のシャーシ、スパイン/リーフ型、分離分散型シャーシ(DDC)のような既存のメトロ展開オプションは、従来の電気通信インフラと現行のダイナミクスに適応できません。

WaveRouterの最新の分散型シャーシと省スペース設計は温度管理の柔軟性を大幅に高めて、スペースと電力の制約に対応できます。ラックと列が隣接していなくてもメトロ・ルーターを展開できる柔軟性に加え、前面から背面への効率的な冷却機能も備えているため、室内温度に関してよく直面する厳しい制約の解決にも役立つ可能性があります。

Cienaは、統合メトロ・ネットワークを新たな方法で構築したいというお客様のリクエストに応えました。業界初となるWaveRouterのユニークなプラットフォーム・アーキテクチャーによって従来の制約が解消されることで、究極にシンプルな運用、将来に備えたスケーリング対応、サステナビリティの向上に加え、メトロにおけるIPレイヤーと光レイヤーの統合を実現できるようになります。

しかし、これがネットワークにもたらす本当の意味をご存知でしょうか。ここで3つの異なるネットワーク・シナリオをご紹介し、WaveRouterがメトロ・アーキテクチャーにもたらす可能性について論じたいと思います。

事例1:モバイル・ネットワーク事業者

Figure 1_Mobile Network Operator_Diagram

最初の可能性として、全国的なモバイル・ネットワーク事業者(MNO)について考えてみましょう。MNOは直接サービスを提供します。回復力のあるネットワークを全国規模で有しており、これによって4G LTEと5Gを提供しています。高密度波長分割多重方式(DWDM)光ファイバーリンクを使用して、高性能なトランスポンダーで光伝送ネットワーク(OTN)クロスコネクトを接続し、複数のメトロ・ネットワークを相互に接続します。OTNクロスコネクトでは、クライアント(イーサネット、SAN、デジタルビデオなど)の種類にかかわらず、あらゆるデジタル信号の伝送と多重化を実現できます。この事例のクライアントは、IP-MPLSラベル・スイッチ・ルーター(LSR)とラベル・エッジ・ルーター(LER)です。

全国的なMNOとして、IPネットワークと光ネットワークを統合したいと考えながらも、ネットワークの回復力を高く維持しなければなりません。現在と同等の回復力で光リンクを復旧するために、この統合ネットワークでは光コントロール・プレーンも利用できなければなりません。

このユースケースでは、OTN光コントロール・プレーンの使用が不可欠です。これは、OTNではIPコントロール・プレーンから障害を分離できるためです。このMNOのネットワークでは光ファイバーの切断が起きる確率が高いため、回復のためにはOTNコントロール・プレーンが必要です。さらに、統合ネットワークではセグメント・ルーティング(SR)コントロール・プレーンも必要です。マルチレイヤー・アプローチの利点は、OTNレイヤーのクライアントであるIPレイヤーに回復力と保証を提供できることです。IPレイヤーとそれに依存するサービスへの影響をまったく与えずに、OTNレイヤーによってレイヤーの物理的障害に対処できます。これにより、SLAを維持できるだけでなく、ファイバー切断が何度発生してもIPレイヤーの最適化を繰り返さずに済むため、運用上の負担が減ります。

一般的なIP技術と光技術を使用した基本的なコントロール・レイヤー・アプローチを採用し、単にコヒーレント・プラガブル光モジュールをレガシー・ルーターに取り付けるだけでは、一時しのぎの解決にしかなりません。ネットワークとそれに依存するサービスがファイバー切断の影響を何度も受ける可能性が残ります。これはまったく効率的ではなく、最適化を繰り返す必要があるので、運用上の保守作業とコストが増大します。言うまでもなく、マルチレイヤー・アプローチは、たとえ複数の機器を維持して重複によるコストがかさむとしても、これよりは効率的です。では、1台の機器だけでマルチレイヤー・アプローチを調整できるとしたらどうでしょうか。

これこそが、パケットの集約とルーティングに特化したレガシー・ルーターと比べたときのCienaのWaveRouterの優位性です。WaveRouterは、市場のどのルーターとも異なり、IPレイヤーの帯域と可用性を保証するOTNのような回復力を備えたレイヤーを構築します。この機能は、特定のポートとサブポートに割り当てることができます。このようなレベルの柔軟性により、WaveRouterは同一のプラットフォームでマルチレイヤー機能も従来のIPルーティングも提供できます。

WaveRouterは、他のメトロ・ルーティング・プラットフォームと異なり、拡張性と柔軟性を備えた統合アーキテクチャーにより、ルーティング、光、コンピューティングの複数の分野にわたってスケーリングして進化できるように最適設計されています。スイッチング容量は、6Tb/sから、48Tb/s、192Tb/sまでの範囲で、6Tb/sの粒度で構成できます。

Figure 2_Mobile Network Operator_Diagram with WR

WaveRouterはチップセットやファブリック容量を有効に活用しながら、WaveLogicTM 5 Nanoコヒーレント・プラガブル光モジュール、パフォーマンス最適化コヒーレント・サブモジュールのWaveLogic 5 Extreme、最近発表したWaveLogic 6ファミリーといった様々なコヒーレント・プラガブル光モジュールとサブモジュールをサポートします。WaveRouterは、これらのすべての機能を使用してプラットフォームの柔軟性を活かすことで、将来のネットワーク拡張に柔軟に対応します。

事例2:国際的なホールセール事業者

ホールセール事業者は、データセンター、アクセスポイント(POP)、電話局(CO)を接続し、建物に光信号を届けるだけでなく、共有通信インフラを提供します。

Figure 3_International Wholesaler Network Illustration

2番目のユースケースでは、国際的なホールセール事業者について考察しましょう。国際的なホールセール事業者は、グローバルなホールセール顧客とグローバルな企業顧客に接続を提供し、収益性の高いビジネス機会を顧客が獲得できるようにします。これらの事業者の使命は、共有通信インフラを使用して、地域と国のネットワークをグローバルに接続することです。
これらの使命を達成したうえで、増大する帯域需要を満たすには、モジュラータイプの柔軟なソリューションが鍵となります。

このシナリオでホールセール事業者は、ネットワーク・レイヤーの統合、マルチレイヤー運用の簡素化、ネットワークでの消費電力の削減を必要としています。その結果はどうなるでしょうか。動的な拡張性とネットワーク・サステナビリティの向上を実現できます。IP/オプティカル統合によってレイヤーを統合できますが、これを達成するには、ルーターにコヒーレント・プラガブル光モジュールを追加するだけではなく、総合的なコヒーレント・ルーティング・アプローチが必要になります。

長距離ネットワークまたはスパンが非常に長いネットワークでは、コヒーレント・プラガブル光モジュールでは不十分であり、たとえCFP2-DCOや新たに登場した高度なTX QSFP-DDであっても十分ではありません。本当に必要なものは、高性能な光装置です。高性能な光装置のメトロ・ルーターへの統合は、WaveRouterが登場するまでは前例がありませんでした。

前のユースケースで説明したように、WaveRouterはチップセットやファブリック容量を有効に活用しながら、様々なコヒーレント・プラガブル光モジュールとサブモジュールをサポートします。

Figure 4_International Wholesaler Network Illustration

バックプレーンの欠如、スロットのトレードオフ、有効利用されない容量といった問題に対して、WaveRouterは拡張性のあるユニークなルーター・スイッチ・ファブリックを備えることで、パフォーマンスを低下させずに稼動中のハードウェア・アップグレードを可能にします。ホールセール事業者はこれによって成長に応じて容量を拡張できるようになり、展開する容量を事前に決定する必要がなくなります。 ビルディングブロック・アプローチであるため、容量の需要に応じて、ポート、スイッチング容量、コヒーレント光装置の使用数を増やすことができます。

WaveRouterは既存のネットワーク環境に導入できる柔軟性を備えているので、ネットワークを現行の状態から最終的に統合されたシンプルな状態へ円滑に移行することができます。

また、WaveRouterは必要に応じて容量を追加できるビルディング・ブロック設計に加え、業界最先端のコヒーレント光装置を使用できるメリットも提供します。WaveRouterのハーフラック・サイズ(最大21RU)は、波長あたり800Gb/s以上の伝送をサポートするフットプリントに最適化された高性能なコヒーレント光装置に対応します。最適化されたWaveRouterの統合光装置を使用すると、お使いのメトロ・プラットフォームでのフォークリフト・アップグレードを回避しながら、コヒーレントの革新技術を統合できます。

事例3:マネージド・サービス・プロバイダー

マネージド・サービス・プロバイダー(MSP)は多くの企業のライフラインであり、基礎となるITインフラ・リソースを提供しています。ITインフラ、クラウド導入、セキュリティの脅威の複雑さを持つメトロが統合のホットスポットとなり始めているのは事実です。

統合メトロへの変革には、MSPは建物負荷に適切に対応し、熱制御機能と冷却機能も十分に備える必要があります。IP/オプティカル統合の導入計画については、1つのラックへの高密度な収容は可能であっても、隣接する4つのラックを空にしたり、100年前の建物であるため床を補強したりする必要があるかもしれません。

Figure 5_Rack Placement

従来のメトロ・ルーターの柔軟性のなさはすべてネックとなります。弱点の1つとして挙げられるのが密度です。特に、400Gと800Gのコヒーレント光装置に移行するときには問題です。上記で説明したように、レガシー・ルーターは高性能なコヒーレント光装置をサポートしません。熱制御と冷却の制約があるため、MSPはルーターを分散するオプションを選びたいかもしれませんが、これはレガシー・ルーターでは実現できません。

Figure 6_Thermal Density Impacts

WaveRouterのように、プラガブル光モジュールもコヒーレント光装置も最大限にサポートし、隣接するラックだけでなく、隣接していないラックと列(最大20m)にも展開できる柔軟性は前例がありません。コンポーネント冷却用に大きなファンを採用しており、レガシー・ルーターのような予熱空気冷却ファブリックは不要なため、WaveRouterは効率的なエアフローを実現し、熱負荷にも最適に対応できます。その結果はどうなるでしょうか。プロバイダーは、柔軟性もパフォーマンスも犠牲にすることなく、サステナビリティの目標達成に近づくことができます。

Figure 7_Rack Placement with WaveRouter

さまざまなユースケースに適したメトロ・ルーティング

これらのすべてのユースケースをまとめれば、Cienaが独自の方法でWaveRouterを構築した理由が見えてきます。密度、消費電力、スペース、冷却のバランスを考慮しながら、お客様にとって最適なメトロ・ルーターを選択できます。お客様が放熱の課題を解決したうえでサステナビリティの目標も達成できるよう、WaveRouterは新たな方法で構築されています。

新しい方法のように聞こえるのは、本当に新しいから。

メトロ・ルーティングの未来へ、そして、WaveRouteへようこそ。

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