デジタルサステナビリティ:数字で見るコヒーレント・イノベーションがもたらす環境への影響
世界の主要通信事業者は、世界をより効率的にするための新技術の開発やネットワークのエネルギー消費量削減などを推進しながら気候変動対策を進めており、環境のサステナビリティに向けて大きな役割を担っています。また、日本においても、急激な電力料金の高騰などの経営環境の変化や、サステナビリティへの取り組みの必要性などから、通信事業者はこれまで以上に低消費電力化への急務な取り組みが求められています。
このような持続可能な社会に向けた世界の流れを踏まえると、消費電力やスペースを増やさずに、通信事業者が20倍以上もの容量を光ファイバーで送信し、ネットワークを拡張するにはどうすれば良いのでしょうか?その答えは、CienaのWaveLogicチームが推進するコヒーレント光伝送技術の持続的なイノベーションにあります。本ブログでは、通信事業者が低電力化と持続可能性を実現するためのヒントをご紹介しています。ぜひ最後までご覧ください。
もし10年前に、ネットワーク・プランナーに「いつか800G/sのネットワーク帯域幅を実現したい」と言ったとしたら、彼らの答えは「それなら、もっと大きなデータセンターが必要になる」というものだったでしょう。このような事態をどうやって回避してきたのでしょうか。その答えは、たゆまぬコヒーレント光伝送技術のイノベーションでした。
私たちはしばしば、過去10年間のコヒーレント光伝送技術の驚くべき進歩を、新たな広帯域アプリケーションやサービスの実現、輸送コストの削減、ネットワークのスケーラビリティと結びつけて考えています。もちろん、それに間違いはありません。このような技術革新がなければ、私たちは今日のように好きなコンテンツにオンデマンドで、いつでもどこからでもアクセスし、コミュニケーションをとることのできるデジタル社会に生きてはいなかったでしょう。
また、あまり議論されていませんが、コヒーレント・イノベーションの重要な成果として、各世代の新技術に必要な回線容量と電力が継続的かつ大幅に削減され、環境に優しいネットワークへの進化を可能にしたことが挙げられます。この技術革新は、環境と地球規模の二酸化炭素排出量削減のために、測定可能で、具体的なインパクトを与えています。さて、それはどのくらいなのでしょうか?
Cienaのシステムを導入することにより、ネットワーク・プロバイダーは、容量の需要を満たしつつ、二酸化炭素の排出を削減しています。具体的には、10年間(2012年~2021年)でCienaのWaveLogicイノベーションが削減した二酸化炭素排出量は450万トンにも上ります。以下に詳しくご説明します。
算出の根拠
Cienaが過去20年間に出荷したWAN光トランシーバー容量の分析によると、ネットワークの帯域幅容量はこの間に150倍という驚異的な伸びを記録しています1。
図1:Cienaの年間総出荷容量(2010年~2021年)
コヒーレント光伝送技術は、このようにネットワーク・プロバイダーが直面しているこの前年比50%増の帯域幅需要に対応し、同時にネットワークの簡素化する上で、重要な役割を担っています。DWDMハードウェアの進化を見ると、業界は、同じかそれ以下の設置面積で、単一波長(つまり1組のトランシーバー)の回線容量の増加を80倍まで達成できました。
これは、出荷されるギガビットごとに必要なビットあたりのワット数が少なくなることを表しています。つまり、光伝送のビットあたりの消費電力を90%削減することに成功したことを意味します。
図2:Ciena WaveLogicの技術革新により、波長容量が160倍に増加
Cienaは、このイノベーションの最前線にいます。2008年に40Gb/sのコヒーレントDWDMで初めて市場参入し、2009年には市場で最初に100Gb/sを提供、2017年には400Gb/sを、そして2020年には800Gb/sを初めて実現しました。さらに、業界初の1.6Tb/秒コヒーレント光ソリューションであるWaveLogic 6eをまもなく2024年に商用化します。新しい技術をいち早く市場に投入することで、お客様はネットワークの効率化というメリットをより早く実感することができます。
この技術革新の主な利点は、プロバイダーが既存のファイバープラントを再利用してより大きな容量を伝送できるため、新しいファイバーを敷設する必要性を先送りできるようになったことです。それは、どれくらいでしょうか?過去10年間で、コヒーレント光伝送技術の革新により、ファイバーの総容量は20倍にも増加しました。言い換えれば、ネットワーク・プロバイダーは、10年前の10G DWDMによる伝送と比較して、現在は(同じCバンド光スペクトラムを使用して)20倍のデータ量をネットワークで伝送することが可能となっているのです。
容量、スペース、電力に関してWaveserverプラットフォームの技術革新によって得られた効率性
容量、スペース、電力に関して、過去3世代のWaveLogicコヒーレント光伝送技術の技術革新によって得られた効率性を示した例を以下に紹介します。長距離アプリケーションに400Gb/sの波長を導入することで、100Gb/sの波長を導入した場合と比較して、ファイバー容量は75%増加、設置面積は87.5%削減、電力は80%削減できます。これにより、通信事業者は、少ないコストで多くを達成でき、重要な省エネを可能にします。
これは始まりにすぎません。当社のWaveLogic 6 Extremeは、旧世代(WaveLogic 5 Extreme)と比べて、設置スペースやビット当たりの消費電力をさらに50%削減します。
コヒーレント技術革新が環境に与えるネットインパクト
Cienaは自社システムで光通信容量を確保する世界有数(中国を除く)のサプライヤーです。より持続可能な環境を実現し、技術革新の価値を理解するため、Cienaでは2012年から2021年までのWaveLogicの複数世代の全てのWAN出荷容量を分析し、出荷されたハードウェアに関連する電力消費量を計算しました。次に、同じ要領を満たすために、2012年製のハードウェアのみを使用した場合の消費電力を計算しました。
その結果、WaveLogicの技術革新がもたらした直接的な効果は、同じネットワーク要件を満たすのに必要な容量を実現したとすると、大気中に放出される二酸化炭素を450万トン以上削減したことがわかりました。
EPAのウェブサイトによれば、これは20億キログラム以上の石炭を燃焼したことに相当します。
または、220万ヘクタール以上の森林が1年間に吸収する二酸化炭素量に匹敵します。
Cienaが自社プラットフォームでこのような結果を出すことができたのはなぜでしょうか。それは、4つの技術に集約できます。
- WaveLogicコヒーレント設計における、新しいコーディング技術や高度なFEC(Forward Error Correction)アルゴリズムなど、新しく革新的なデジタル信号処理(DSP)の実装
- WaveLogicの各世代で、最新世代のCMOS技術を活用した、DSP ASICの機能統合レベルの向上
- 電気光学機器の小型化、シリコンフォトニクスとリン化インジウム材料によるフォトニックインテグレーションへの投資
- 高速フォトニクス部品設計、DSP ASIC設計、高速アナログ設計、デジタル通信、光伝搬の各分野で、専門知識を有する部門横断的なチームによるイノベーションの実現
Cienaでは、お客様のあらゆるビジネスニーズをサポートすることを責務として取り組んでいます。これは、重要な接続需要に応えるための大容量供給を提供するというだけでなく、環境にさらに優しいネットワークを実現するために、新たな効率化に向けたイノベーションを推進するためのリソースを投入することを意味します。そして、私たちはここで立ち止まることはありません。CienaはWaveLogic 6を中心とした光伝送技術によって、業界最高水準の技術を提供しながら、ギガビットあたりの消費電力を最小化し、持続可能性の目標達成に貢献していきます。